小さな緑色の実が紫色に変わってきました。竹橋のパレスサイドビルすぐ南にある皇居東御苑内宮内庁書陵部玄関前に植えられているコムラサキの実です。たわわになり、垂れ下がった房状の実は小さな小さなブドウのようにも見えます。だからというわけではありませんが、鳥はこの実を好んで食べます。
コムラサキといえば紫色に輝く羽が美しい蝶もいますが、花と蝶、同じ名称でも関係はまったくありません。このコムラサキと良く間違われるのがムラサキシキブ(紫式部)ですが、こちらも源氏物語とは関係はなさそうです。ムラサキシキブの方は実がやや大型ですが、バラバラについているので、観賞にはコムラサキの方が好まれるようです。見分け方は実がついている柄と葉っぱの柄が少しずれてついているのがコムラサキ、身がついている柄と葉っぱの柄がほぼ同じところについているのがムラサキシキブです。あと、葉っぱの縁が途中からギザギザになっているのがコムラサキ、根元から先端までギザギザになっているのがムラサキシキブです。
東御苑ではコムラサキの隣にシロミノコムラサキもあり、実は緑から白に変わっていました。こちらはシロシキブ(白式部)とも呼ばれます。実の色が違うだけでコムラサキとほとんど変わりありません。皇居内で育っているので、ここだけはシロミノコムラサキというより「式部」という女官の呼び名がついたシロシキブとした方がふさわしいですね。