ロンドン五輪では日本女子サッカーチームの「なでしこジャパン」の活躍に大きな期待がかかっていますが、パレスサイドビルすぐ前にある皇居東御苑内二の丸休憩所前では秋の七草の一つ、ナデシコ(撫子)がこの暑さにも負けずに頑張って、可憐なピンクの花を咲かせています。ガーデニングなどでは人気があり、すっかりお馴染みでそれほど珍しいわけではありませんが、野草の中で彩りを添えてくれているのを見ると、何かうれしい気持ちになってきます。
東御苑に咲いているのは正式にはカワラナデシコ。ヤマトナデシコともただナデシコとも呼ばれている種類です。夏から秋にかけて長く咲くことから古くはトコナツ(常夏)とも言われていました。撫子はわが子を撫でるようにかわいい花であることからついたともいわれています。英語でピンクというとナデシコを指すそうです。
日本では昔から多くの人に愛されていたようで、日本書紀には奇稲田姫(くしなだひめ)が「撫子」の呼び名を持っていたとなっていました。姉たちは次々とヤマタノオロチに食べられてしまい、奇稲田姫も食べられそうになったところに須佐之男命が現れてヤマタノオロチを退治し、二人は結ばれるという話になっています。また、清少納言は枕草子で「絵に描くと劣るもの、撫子、菖蒲、桜。物語で愛でたしと言っている男女の容姿」と記しています。絵にするよりそのまま鑑賞した方が良いと言っているようです。
ロンドンの現地時間で、今日3日は「なでしこジャパン」が準々決勝でブラジルと対戦します。清少納言流に言うと、なでしこのジャパンの録画映像よりも生で応援する方が良いということになるのでしょうが、なかなかそう簡単にはいきませんよね。