交番といえば「こち亀」という人も多いでしょう。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(秋本治・作)。週刊少年ジャンプに1976年から連載されている超長寿コミックで、単行本は6月4日に180巻が出たところです。主人公の「両さん」こと両津勘吉巡査長らユニークな登場人物が次々に大騒動を巻き起こしますが、根底に古典落語に通じる人情が流れているのが人気の秘密といわれます。
スカイツリー開業には両さんも感慨深げに、「子供が育つように完成を楽しみにしていたんだよ」と語っています(「ジャンプ」5月21日発売号)。
葛飾区に亀有公園はありますが、亀有公園前派出所(交番)は実在せず、亀有駅北口交番がモデルとされます。1994年の法改正で派出所は公式には「交番」とされましたが、漫画のタイトルは「派出所」のままです。
亀有公園前派出所は連載開始から10数年間、実在の「亀有警察署」所属でしたが、本物はまずいということか、1990年代になって当時なかった「葛飾警察署」に修正。さらに2002年に本田(ほんでん)警察署が改称して本物の葛飾警察署が誕生すると、作中で「新葛飾警察署」へ名称変更――など、こち亀に関する蘊蓄(うんちく)は、ネットで検索すれば、いくらでも出てきます。この手の情報を一通り概観するのに便利なフリー百科事典「ウィキペディア」にも項目が立てられていますが、写真のように、一時はページの冒頭に「一部または全体を削除することが審議されています」「著作権侵害が指摘され、現在審議中です」とのお断り文が掲示されました(5月11日撮影)。作者や出版社とトラブったのかと心配しましたが、その後、この表示は消滅し、5月と比べた変化は、「実在の事件や社会・時事問題」の項目に、「AKB48とそのメンバーが実名で登場している」などの記述が追加されたくらいのようです。
こち亀の「少年ジャンプ」を発行する集英社はパレスサイドビルから歩いて数分、多くの出版社が集まる神保町の交差点近くにあります。