先日の雨で東京の桜は散ってしまったかと思われましたが、今年の桜はしぶといというか、雨にも負けずまだまだ咲き誇っており、この週末も十分花見はできそうです。東京・竹橋のパレスサイドビルすぐ南の皇居・東御苑でも桜はあまり散っておらず、訪れる人の目を楽しませそうです。こんなに遅くまで桜の花を愛でることができるのは珍しいですね。
皇居東御苑には桜だけでなく今は多くの花が咲いています。白鳥濠のわきにはヤマブキが鮮やかな黄色い花をつけ、ひときわ目立った存在になっています。
雨、江戸城(皇居)、ヤマブキとくれば当然に思い起こされるのが太田道灌の山吹伝説でしょう。
《鷹狩りに出かけた太田道灌がにわか雨にあって、みすぼらしい家にかけこみました。道灌が「急な雨にあってしまったので蓑を貸してもらえないか」と声をかけたところ、少女が出てきて山吹の花一輪を黙って差し出しました。道灌は「花が欲しいのではない」と怒り、雨の中を帰って行きました。
その夜、道灌がこのことを家臣に語ると、家臣は「後拾遺集に『七重八重花は咲けども山吹のみ(実)の(蓑)ひとつだになきぞかなしき』という歌があります。娘は蓑がひとつもないほど貧しいということを山吹に例えたのでしょう」と話ました。
驚いた道灌は己の不明を恥じ、この日を境に歌道に精進するようになった》――という話ですね。少女が八重咲のヤマブキは実がならないということと蓑をかけてヤマブキの花で表現したのはさすがです。季節的にはちょうどこの時期でしょうが、少女がいたところについては、埼玉県・越生、豊島区・高田、荒川区・町屋、横浜市・六浦と諸説あり、それぞれが"山吹の里"となっているようです。
いずれにしても、東御苑のヤマブキはもう少し楽しめそうですが、今日、金曜日と月曜日は休苑・閉鎖です。いつの日でも楽しめるようにしてもらえれば、と思いますが......。